2013年8月31日土曜日

344)父よ出てこい

シニフィアン研究所(埼玉県上尾市&和歌山県和歌山市)の迎意 愛(むかい あい)です。
精神分析という対話療法で自己(無意識)を知り、必要に応じて書き換えていきます。
そうすれば、不安は安心に変わり、生きる希望が湧いてくることでしょう。
 今日は、「父よ出てこい」 について書きます。
最近、思春期の子どもの非行についての相談が増えてきました。
例えば、「万引き」「窃盗」「夜中徘徊」などです。
特に中学生の息子さんが多くなっています。
彼らは一体何を訴えているのか?との問いを立て、考えてみたいと思います。

これはあくまでも私見ですが、「問い合わせや相談は圧倒的にその母親からである」傾向があります。
なぜ父親ではなく、母親なのでしょうか。

・父親よりも母親の方が、子どもに関心が高いから
・母親の方が子どもの身近に居るから
・母親の方が時間的ゆとりがあるから
・父親不在(単身赴任、長期出張など)
・その他

これらのことも含め、相談に来られた母親の情報から、ある父親像が浮かび上がってきました。
それは≪父親(夫)の影が薄い≫ということです。
子どもの相談に来ているのですが、話を聞いているといつの間にか父親(夫)への不満になっていることが多々あります。
・何も言わない父親(無口)
・最初からあきらめている父親(仕方ない、そんなもんだ)
・相談相手にならない父親
・父親不在etc

ここから父親(夫)がその役割を果たしていないということが予測されます。
ですから、母親が一人で必死になり、結果的に子どもに過干渉になることが考えられます。
そして、そのことが子どもに窒息感を感じさせ、反抗や非行などの問題行動を加速させる。
だからといって、
逆に母親も仕方ないとあきらめてしまったなら、
子どもは「見捨てられた」「どうなったっていいんだ」と思って、ヤケになるかもしれません。

これらの連鎖を断ち切るにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、『父親が父の役割を果たすこと』ではないでしょうか。
ここで≪父の役割とは何か?≫という問いが出てきます。
詳細は別稿に譲るとして、
≪父の役割とは、語る父=法、秩序、ルールを言葉で示すこと≫です。
つまり、人として生きるとはどういうことか、
社会に参入するとはどういうことなのか、
なぜ非行はいけないことなのか、
これらのことを、感情的にではなく、客観的に語れる父であること、
これらのことを意味します。

家庭に父不在である時、
母親はその指針を持てず、戸惑い、迷うことでしょう。
その結果子どもにそのはけ口を向けてしまうかもしれません。
あるいは、そんな母の不満を子どもが感じている可能性も考えられます。
そして何よりも子ども自身が、
父親を通して社会の法、秩序、ルールを知りたい、示してほしいとの強い訴え(メッセージ)と考えられないでしょうか?
これらのことから、少し乱暴な言い方になりますが、
思春期の子どもの非行や問題行動は
『父よ出てこい、父の役目を果たせ、社会のルールを教えてくれ』との訴えだと思うのです。
思春期の子どもの非行・問題行動=社会的父への呼び出し
このような図式が見えてくると思うのです。

ご意見、質問などはシニフィアン研究所までhttp://signifiant-lab.com/
シニフィアン研究所では思春期の子どもの問題などの相談はもちろん、各種勉強会・講座も開催しています。http://signifiant-lab.com/eatingdisorder/
詳しくはお気軽にお問い合わせください。

なお、9月3日(火)~5日(木)は関西へ出張します。
詳細は明日、ブログとHPのカレンダーにてお知らせする予定です。

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